第五十七段 われから身をも

むかし、男、人知れぬもの思ひけり*1。つれなき人のもとに*2

恋ひわびぬ*3海人の刈る藻に宿るてふ*4われから*5身をもくだきつるかな*6 *7

*1:人には知れないもの思いをした

*2:冷淡な人のもとに(次の歌を詠んだ)

*3:(あなたを)想い過ぎて、疲れ果てました…

*4:海人(あま)の刈る藻にくっついてるという

*5:割殻(甲殻類の小さな生物)=我から(自分自身のせいで)

*6:(心はもとより)この身も砕いてしまったことです…

*7:ワレカラは、体が乾くとパリッと割れてしまう。 参考:(goo辞書→ http://bit.ly/eQdqu8 )(Google検索※苦手な人は注意→ http://bit.ly/i8owYC