第四十七段 大幣

むかし、男、ねむごろにいかでと思ふ女ありけり*1。されど、この男をあだなりと聞きて*2、つれなさのみまさりつつ、言へる*3

大幣*4*5引く手あまたになりぬれば*6思へどえこそ頼まざりけれ*7

返し、男*8

大幣と名にこそ立てれ*9流れても*10つひに寄る瀬はありといふものを*11

*1:どーにかしてネンゴロになりたいと思う女がいた

*2:だけど、(その女は)この男が浮気性だということを聞いて

*3:ますます超冷たい態度を取るようになって、(次の歌を)詠んで寄越した

*4:おほぬさ、お祓いのときのアレ。(画像→ http://bit.ly/dAGMSE

*5:「大幣の」は「引く手あまた」にかかる(切幣 http://bit.ly/bqSlm6 に対して、切らずに長く引いた

*6:(あなたは大幣みたいに)引く手あまたで大勢の女のとこへ通って行くようになっちゃったから

*7:(好きだと)思ってはいますけど、頼りにはしてませんから^^

*8:(これに対する)男の返歌

*9:(引く手あまたの)大幣と評判の俺だけど

*10:流れ流れていっても(大幣はお祓いが終わると川に流していた)

*11:最後に流れ着く瀬はあるって言うじゃんかー(一人の女に行き着くからさあー)