第二十九段 花の賀

むかし、春宮の女御*1の御方*2の花の賀*3に召しあづけられ*4たりけるに、*5

花に飽かぬ歎きはいつもせしかども*6今日の今宵に似る時はなし*7

(※豆→*8

*1:二条の后(→第三段「ひじき藻」の注7(http://bit.ly/bqnZP9)を参照されたい)

*2:御殿

*3:お花見会

*4:引っ張り出され

*5:春宮の女御の御殿のお花見会に引っ張り出されたときに(男は)(次の歌を詠んだ)

*6:花(を眺めること)に飽きないって歎きはいつもしたけど

*7:きょうの、今宵みたいな(思いを抱く)時はありませんでした…

*8:春宮の女御(とうぐうのにょうご)は、ここまでだと、
第三段 ひじき藻 http://bit.ly/cOPGcc
第四段 月やあらぬ http://bit.ly/cVoiNX
第五段 築地の崩れ http://bit.ly/ccP2s2
第六段 芥河 http://bit.ly/bIZpAt
に「二条の后」として出てきた高子タン。
清和天皇の女御で、陽成天皇の母后でもある。
ちょいちょい出てくる「女」は、この人のことが多い。
ちなみに、「男」は、だいたい在原業平のこと。