第二十八段 あふごかたみ

むかし、色好みなりける女*1、いでていにければ*2

などてかく*3あふご*4かたみ*5になりにけむ水もらさじと*6むすびしものを*7*8

*1:好きモノだった女が

*2:出てっちまったんで

*3:なんでこんなふうに

*4:逢ふ期、逢う時のこと

*5:籠=小さい竹かご、かたみ(難み)とかけてる

*6:水を漏らすまいと

*7:(籠を)(契りを)結んだのになあ…

*8:なんでこんなふうに、二人が逢うのがいつになんのかもわからないようなことになっちゃったんだろう…。水を漏らすまいと籠をちゃんと結んだんだけどなあ(愛情をカタく誓ったのになあ)…。