第十五段 しのぶ山

むかし、陸奥にて、なでふことなき人の妻に通ひけるに*1、あやしう*2、さやうにてあるべき女*3ともあらず見えければ*4*5

しのぶ山*6忍びて通ふ道もがな人の心の奥も見るべく (※C釈→*7 *8

女、かぎりなくめでたしと思へど*9*10さるさがなきえびす心を見ては*11、いかがせむは*12

*1:なんつうこともない奴の妻に通ったんだけど

*2:不思議にも

*3:そんな(つまらん男の妻という)境遇で当たり前の女

*4:じゃないように見えたんで

*5:(男は次の歌を送った)

*6:福島市街北の丘陵

*7:人目を忍んで(あなたのもとへ)通う道があればいい、あなたの心の奥ゆかしさを見られるように

*8:「しのぶ山」で「忍ぶ」とか「道」「奥」(→みちのく)あたりとかけつつ舞台を示す

*9:(この男を)マジ素晴らしいんだけどwと思ったんだけど

*10:ここから作者コメ→

*11:(その男は)そんなしょうもない田舎女の心を見て

*12:どないするっちゅうねん!