第十三段 武蔵鐙(あぶみ)
むかし、武蔵なる男*1、京なる女のもとに*2、「聞ゆれば恥づかし*3。聞えねば苦し*4」と書きて、うはがき*5に「武蔵鐙*6」と書きておこせてのち*7、音もせずなりにければ*8、京より、女*9、
*1:武蔵にいる男が(←ちゃっかり武蔵に落ち着いちゃってるw)
*2:京にいる女に
*3:(こっちで新しい女できたのを)言うのは、ちょっと気がひけるんだけど
*4:(かといって大事なあなたにそれを)言わないのも嫌なんだよね
*5:手紙の包みに書く宛名と差出人(メールでいうと「件名欄」的なw)
*6:あぶみ(鞍から吊り下げ、騎乗時に足を乗せる馬具→ http://bit.ly/9FcMIZ )
*7:と書いて寄越してからあとは
*8:ふっつり音沙汰なくなっちゃったんで
*9:京から、その女が(次の歌を詠んで送った)
*10:上の文章を受けつつ、すぐ後ろの「刺鉄にかけて」を導く
*11:さすが(刺鉄)、「かこ(環境依存文字につき仮名で御免、 http://bit.ly/a7HSTM )」っていう鞍と鐙をつなげる金具の一部。馬具の「さすが」と「そうは言うても」の「さすが」をかけてる
*12:頼りにしているあたし的には
*13:便りがないのはヒドイと思うけど、かといって便りが来てもわずらわしい
*14:武蔵鐙さん、あなたを刺鉄(さすが)のように頼りにしているあたし的にはさすがにやはり、便りをくれないのはヒドイと思う、でもまあ(他の女と暮らしてるっていう)便りを寄越されても、正直ウザいのよね
*15:とあるのを見て
*16:(男は)たえ難く悲しい気持ちになった(で、次の歌を詠んだ)
*17:便りをやれば苦情を言う
*18:やらなきゃやらないで恨んでる
*19:すぐ後ろの「かかる」を導く
*20:このような時
*21:便りを送れば文句言う、送らなければ恨む…、こういう時に死ぬのかな、人って…。