第十一段 空行く月

むかし、男、あづまへ行きけるに*1、友だちどもに*2道より*3言ひおこせける*4

忘るなよほどは雲居*5になりぬとも空行く月のめぐりあふまで (※C釈→*6

*1:東国にいったんだけど

*2:友人たちに

*3:旅先から

*4:(次の歌を)詠んで寄越してきた

*5:くもゐ、雲の居る所。→転じて、親しい人と遠く離れた状態

*6:どれほど遠く離れていても、忘れんな、(空を行く月がめぐって再び会うように)俺達がまためぐりあう時まで…!!