第二段 西の京の女

むかし、男ありけり。奈良の京*1は離れ、この京*2は人の家まだ定まらざりける時に*3、西の京*4に女ありけり。その女、世人にはまされりけり*5。その人、かたちよりは心なむまさりたりける*6。ひとりのみもあらざりけらし*7。それを、かのまめ男*8、うち物語らひて*9、帰り来て*10、いかが思ひけむ*11、時は弥生*12のついたち*13、雨そほ降る*14にやりける*15

起きもせず寝もせで夜を明かしては*16春のものとて*17ながめ暮らしつ*18 (※C解釈→*19

*1:平城京、のちの784年に長岡京へ、794年平安京に遷都

*2:平安京

*3:人の家がまだあんまし整ってなかった時に

*4:(湿地が多かった)

*5:世の中のフツーの人たちよかイイ女だった

*6:見た目っつうよりは性格が良かった

*7:独りでいたってワケでもなかったらすぃ

*8:そのマジメ男は

*9:けっこうイイ感じにしゃべったりして(でも寝るには至らなかった…)

*10:帰って来て

*11:どう思ったのか

*12:3月

*13:1日

*14:雨がしとしと降ってる中

*15:(次の)歌を送った

*16:起きるでも寝るでもなく夜を明かしては

*17:春のもんだっつう事で

*18:(この雨みたく)ぼんやり眺めて一日\(^o^)/オワタ

*19:イイ感じだったのにヤれなかったぜちきしょう…(;_;)