第五十九段 東山

むかし、男、京をいかが思ひけむ*1、東山*2に住まむと思ひ入りて*3

住みわびぬ*4今はかぎりと*5山里に身を隠すべき宿求めてむ*6

かくて*7、ものいたく病みて*8死に入りたりければ*9、おもて*10に水そそきなどして*11、生きいでて*12

わが上に露ぞ置くなる*13天の河*14*15渡る舟*16のかい*17のしづく*18

となむ言ひて*19、生きいでたりける*20

*1:京をどう思ったのか

*2:京の東の山々

*3:「東山に住もう」と、悲観して(次の歌)

*4:もう(この世に)住むの疲れたわ…

*5:これで最後だと

*6:山里に身を隠せる家を探そう…

*7:こうして

*8:めっちゃ病んで

*9:息絶えてしまったので

*10:

*11:顔に水ぶっかけたりして

*12:息を吹き返して

*13:俺の上に露が置くようだ

*14:(七月七日のアレ)

*15:渡し場

*16:(織姫に逢いに彦星が乗る舟)

*17:かい【櫂】舟を漕ぐ道具。オール。

*18:

*19:と詠んで

*20:生き返ったのだった…